新たな日常の構築に貢献するヘルスエアー®技術のご紹介
三菱電機株式会社 中津川製作所
1.当社ヘルスエアー®技術について
(1) 当社ヘルスエアー®技術について
新型コロナウイルス感染症拡大防止の視点において、換気による浮遊ウイルスの排出が重要であるとの認知が浸透している。一方で、有効な換気設備が設置されていない、あるいは窓開けによる換気が困難な場所・場合においては、換気の代替手段としての空清も有効とされている。
当社では、室内に浮遊するウイルスや細菌などを低減することを目的に、2012年に当社独自※1の空気清浄技術である「ヘルスエアー®技術」を開発した。「放電部」を構成する放電電極と対向電極に、直流電圧を加えて強力な放電・電界空間を生成することで、その空間を通過するウイルス、細菌、アレル物質などを除去・低減できる技術である。放電電極にリボン形状(タングステンリボン電極)を採用することで、空間内の広い範囲を高電界化できるのが特長である。

図1:ヘルスエアー®技術によるウイルス低減の概念図
このヘルスエアー®技術は、コロナ禍においてさらなる進化を遂げた。新型コロナウイルスの培養技術を持つ一般財団法人日本繊維製品品質技術センター神戸試験センターと共同で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を浮遊させた空間でのヘルスエアー®技術による実証を行い、ヘルスエアー®技術が浮遊する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に有効であることを確認、2021年8月5日に当社ウェブサイト上で広報発表を行った。
実証結果として、ヘルスエアー®技術で生成した放電電界空間に、浮遊する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を通過させることで、新型コロナウイルスの残存率を5分間で99.2%※2低減できることが確認できた。

図2:実証方法イメージ
※1:放電電極をリボン形状にした空気清浄デバイスにおいて、2021年8月5日現在、当社調べ。
※2:本検証は、ヘルスエアー®技術を搭載した試験装置での実証結果であり、製品・実使用環境での効果を示すものではありません。
引用:当社ウェブサイト「ニュースリリース」
「ヘルスエアー技術で浮遊する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の低減効果を確認」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/0805.html
(2) 「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンについて

上述のヘルスエアー®技術を搭載し、24時間、空気中の様々な物質を抑制・除去、および脱臭する目的で開発された製品に、当社「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンがある。室内の空気環境の質(IEQ)の改善に寄与できる製品で、天井や壁設置で使用するため、床面など室内の設置スペースを取らない利点がある。
この製品は、抗菌・抗ウイルスに関心の高い施主様におすすめと考えている。コロナ禍を通じて顕在化した空気清浄ニーズに対応しており、主な特長として、ウイルス・菌を99%抑制※3できる点、さまざまな気になるニオイを脱臭できるに加え、低ランニングコストでの運用が可能な点、施工も比較的容易な点が挙げられる。
「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンの特長を、次のとおり詳しく紹介する。
①ウイルスを99%抑制※3・菌を99%抑制※4
25㎥の密閉空間、風量40㎥/hでの試験結果から、ウイルスは416分で99%、菌は388分で99%抑制できることを確認(実際の使用空間での試験結果ではありません)。

図3:ウイルス抑制効果について
※3:実際の使用環境及び使用条件では同様の効能・効果が得られることは実証できていません。【試験機関】(独)国立病院機構 仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター【試験方法】25㎥の密閉空間にウイルスを噴霧し、一定時間後に試験空間内の空気を回収し、その中にいるウイルスをプラーク法で測定【抑制方法】「ヘルスエアー®機能」ユニット内を通過【対象】浮遊したウイルス【試験結果】JC-10KR(強運転)の稼働有無で、416分で99%抑制(仙医R2-001号)。試験は1種類のウイルスで実施。
※4:実際の使用環境及び使用条件では同様の効能・効果が得られることは実証できていません。【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験方法】25㎥の密閉空間に菌を噴霧し、一定時間後に試験空間内の空気を回収し、その中にいる菌を測定【抑制方法】「ヘルスエアー®機能」ユニット内を通過【対象】浮遊した菌【試験結果】JC-10K(強運転)の稼働有無で、388分で99%抑制(北生発2015-0046号)。試験は1種類の菌で実施。
②脱臭
「ヘルスエアー®機能」ユニットに脱臭フィルターを内蔵、さまざまな臭気に対する高い脱臭効果を発揮。汗臭・排泄臭(アンモニア)、生ごみ臭、動物・ペット臭(アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素)などに著しい効果があり、一過性脱臭効率は80%以上※5。

図4:さまざまな臭気に対する脱臭効果
※5:【試験方法】1㎥の密閉空間において、JC-10K(弱運転)を2分間運転後、空気中の濃度を測定し、一過性脱臭効率を算出【脱臭方法】JC-10Kを運転(弱運転)【脱臭手段】触媒【対象()内は測定方法】アンモニア(検知管)、メチルメルカプタン(検知管)、硫化水素(検知管)。脱臭効果は室内環境や臭気の発生量などによって異なります。たばこの有害物質(一酸化炭素等)は除去できません。常時発生し続けるにおい成分(建材臭、ペット臭等)はすべて除去できるわけではありません(当社調べ)。
③低ランニングコスト
この製品は、24時間連続運転による循環清浄を前提とした運用を推奨している。この場合でも、1ヶ月の電気代はわずか約156円と、低ランニングコストでの運用が可能。
<試算条件>機器運転時間:JC-10K、弱運転(60Hz)、機器運転時間:1日24時間、1ヶ月30日、電力料金目安単価:31円/kWh(税込)
④省施工
JC-10KRは天井埋込設置を推奨しているが、設置寸法が確保できる場合は壁埋込設置も可能である。循環ファン(換気機能なし)のため、ダクト接続工事等は不要。天井(壁)開口、本体設置、および電源配線工事のみで使用可能。製品には、壁スイッチタイプとワイヤレスリモコンタイプの2機種を用意しているが、後者の場合は本体からスイッチへの配線も不要となり、さらに省施工となる。製品質量も2.1kgと軽量。JC-30KRは同梱の据付板により本体壁掛け設置を実現。

⑤その他特長
ウイルス・菌抑制に加え、花粉抑制、PM2.5除去などが挙げられる。これは、「ヘルスエアー®機能」ユニットに電圧を印加することでユニットが帯電し、電気集塵の原理で微小粒子を回収するものである。また、天井・壁設置の形態のため、床面などに設置スペースを必要としないことから、床スペースの有効活用や、製品・電源コードなどにつまずくなどの懸念も少ないことも特長の一つに挙げられる。メンテナンスが必要な、「ヘルスエアー®機能」ユニット、およびユニットに内蔵の脱臭フィルターについても、6ヶ月に1回の水洗いにより性能が再生(吸込口フィルターは約3ヶ月に1回)、交換が必要な脱臭フィルターの寿命は、標準的な使用で約10年と長寿命なのもメリットとしてご紹介している。
「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンの製品構造と空気清浄のイメージを簡単にご紹介する。まず室内の空気は、製品の吸込口から取り入れられ、空気中に含まれるホコリなどの大きな粒子は吸込口フィルター(ホコリ取りフィルター)で捕集される。その後、「ヘルスエアー®機能」ユニット内で生成された電界・放電空間を通過する際に、空気中に含まれるウイルスや菌などのさまざまな物質を抑制し、微小粒子の電気集塵を行う。その後、脱臭フィルターを通ってニオイを脱臭し、吹出口から室内へ再度循環させる仕組みである。このサイクルを繰り返すことで、室内の空気環境の質を徐々に改善させ、清浄状態を維持することを目的としている。

図5:「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンの製品構造

図6:製品内部で「空気が清浄される」イメージ図
当社のヘルスエアー®技術、およびその技術を採用した「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンは、2015年6月の発売以降、主に脱臭性能に対する評価から徐々に市場浸透していった。認知がさらに高まった契機として、当該技術が浮遊する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に有効であることを証明できたこと、および本技術を搭載した製品がウイルス抑制に有効であると認められ始めたことが挙げられる。なお、当社ヘルスエアー®技術については、内閣府ホームページでも「新型コロナウイルスへの予防等に活用可能な新技術」として紹介されている。

図7:新たな日常の構築に貢献する新技術等の当社事例紹介
参考:内閣府ホームページ「新技術の活用による新たな日常の構築に向けて」
新たな日常の構築に貢献する新技術等の事例紹介(以下リンク先のP.8に掲載)
https://www8.cao.go.jp/cstp/shingijutu/glist_4.pdf
(3)「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンご採用事例
ここで、当社の「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンの採用事例をご紹介したい。2016年の発売当初は、住宅用途を想定した訴求を展開し、ウォークインクローゼットなどの換気が行き届かない空間の空気のよどみ対策や、ペット共生住宅などでの脱臭を目的とした採用が主であったが、コロナ禍を受けて非居住施設からの引き合いも増加している。非居住施設での主な採用事例として、コロナ禍以前はビジネスホテルや高齢者施設、コンビニエンスストアなど、住宅同様脱臭性能に対する評価からの採用が多かったが、コロナ禍以降は医療・介護施設、飲食店などからの引き合いが増加しており、コロナ禍を背景とした、事業主の空気清浄に関するニーズの顕在化の結果と受け止めている。
この製品は、コロナウイルス感染拡大防止を目的とした設備導入に対する政府・自治体の補助金を活用した採用事例も多く見られた。またさまざまな企業でも、従業員の健康配慮の目的から執務スペースに本製品を導入いただいた例もあり、空気環境の質改善に資する幅広いニーズに対応可能な技術としてご紹介したい。
(4)「ヘルスエアー®技術」当社品への搭載事例
当社としても、ヘルスエアー®技術がもたらす空気環境の質改善の効果を広く普及させるべく、現在さまざまな製品へヘルスエアー®技術の展開を推進している。2020年10月には、機械室レス・エレベーターに本製品を搭載、クリーンで快適な移動の提供を実現した。同年11月には、東京メトロ銀座線車両で、本製品の試験搭載が実施された。翌2021年3月には、本技術を採用したルームエアコン「霧ヶ峰」Rシリーズを発表。同6月に、ハンドドライヤー「ジェットタオル」スリムタイプに同技術を実装、衛生強化モデルとして販売を開始した。同12月には、パッケージエアコン用に「ヘルスエアー®機能」搭載クリーンユニットが発売されるなど、さまざまな場面でヘルスエアー®技術による空気環境の質改善を目指す取組みを実施している。
今後も、ヘルスエアー®技術を搭載した製品を市場投入することで、当社技術の認知拡大もさることながら、設置場所の環境改善に少しでも貢献できることを目指した活動を進めていきたい。

図8:ハンドドライヤー ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)
引用:当社ウェブサイト「ニュースリリース」
「三菱 機械室レス・エレベーター『AXIEZ-LINKs』発売開始のお知らせ」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2020/0929-b.html
「東京メトロ銀座線車両で『ヘルスエアー機能』搭載 循環ファンの試験搭載を開始」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2020/1125-b.html
「2021年度 三菱ルームエアコン『霧ヶ峰X・R・S・GEシリーズ』発売のお知らせ」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/0126.html
「パッケージエアコン用『ヘルスエアー機能』搭載クリーンユニット新発売
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/0922.html
以上


